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業務の属人化はなぜ起こる?問題点と脱却方法について解説

経営・業務改善

属人化とは、特定の業務が職場全体に手順や進捗状況などが共有されておらず、特定の担当者しか対応できない状態のことを指します。多かれ少なかれ職場ではこうした問題が発生し得るのですが、属人化が進むと業務や会社経営に支障が出ることも無きにしもあらずです。今回は属人化によって起こり得る問題と脱却する方法についてご説明します。

属人化の悩みとは?どんな問題が発生する?

はじめに属人化によって生じる多くの企業が抱えている悩みと、属人化が進むことで起こり得る問題について見ていきましょう。

属人化の悩み

冒頭のとおり、属人化は特定の業務を特定の担当者しか対応できない状態のことを指します。ほかの従業員はその業務ができず、進捗状況も把握していません。その担当者が休みや出張などの不在時に顧客から問い合わせがあったり、仕事の依頼があったりしたときに誰も対応できず、職場が混乱するということがよくあります。

また、属人化が発生している職場は、往々にして特定の担当者に業務が集中しがちです。ほかの従業員に仕事を振ることができないので、その担当者がすべて抱え込むことになり、長時間労働や休日出勤などの過重労働が発生し、担当者が不満を持つケースも少なくありません。

忙しくてマニュアル作成や引き継ぎができず、人材が育っていない。そして新しく業務が発生してますます属人化が進む。こうした負の連鎖に陥りがちです。担当者が定年を迎えて、あるいは待遇や労働環境に不満を覚えて退職することになり、急いで引き継ぎをするというケースもよくあります。

属人化によって起こる問題

属人化によって起こり得る問題としてまず挙げられるのは、業務の停滞です。担当者が休みや出張で不在になった場合、顧客から問い合わせや依頼があっても対応することができません。1日いないだけでも混乱が生じる可能性がありますが、長期出張や休暇などで何日も不在となると、業務が完全に停滞してしまいます。

担当者が退職する場合、商品やサービスの提供自体ができなくなってしまうおそれもあります。往々にして高度なスキルや知識を持つ人材ほど仕事が集中して属人化しやすく、密かに労働環境に不満を募らせていて、他社からの引き抜きをきっかけに突然退職してしまうというケースも少なくありません。

また、1人で業務を行っておりマニュアルもないため、品質にバラつきが出る、業務効率が低下するなどの問題も発生しがちです。

属人化が起こる原因とは?

そもそもなぜ職場で属人化が起こるのでしょうか?ここからは、その原因を考えていきましょう。

業務内容が専門的・高度なスキルが必要

属人化とは、言い換えれば「その人しかできない」状態です。ほかに専門的かつ高度なスキルを身につけた人がいない、あるいは身につけるのに時間がかかるため、結果的に属人化しているケースが挙げられます。特に職人の世界に多いパターンです。

人員不足

人員不足も属人化の大きな要因です。人数が多ければ新人や若手に業務を手伝わせながら仕事を引き継ぐ、あるいは全員がすべてのスキル・技術を習得する「多能工化」が実現できますが、人員が足りていないと特定の人が特定の業務を抱え込むことになり、やがて属人化が進みます。

個人プレイになっている

個人個人に仕事が割り振られて各々が業務を遂行する個人プレイ型の職場は、属人化にならざるを得ません。特にこうした職場は属人化していることが当たり前の状態であり、担当者が退職すると相当引き継ぎに時間がかかってしまいます。とりわけテレワークでは、個人プレイになりがちで、属人化が進みやすくなります。テレワークのマネジメントについてはこちらの記事もぜひ参考にしてください。

>グッドモチベコラム「コロナ禍で大きく変わった労働環境。アフターコロナで人材育成・マネジメントはどうなる?

マニュアルができていない

誰でも理解できるマニュアルがなく、その担当者の頭のなかにしか業務の手順やノウハウがないというケースも非常に多いです。業務が忙しい、言語化しにくい(感覚や経験に頼る職人芸的な要素がある)など、さまざまな理由でマニュアルが作成できず、その結果属人化してしまうケースも多いです。

担当者が自分のポジションを守るため

特定の担当者が自分を守るために、あえてほかの従業員に引き継ぎやノウハウの共有をせず、属人化させているケースも少なからずあります。「自分しかその仕事ができない」という状況を作り出せば、企業はなかなかその人を辞めさせることはできません。また、職場での立場も確立することができます。

適切なマネジメントができていない

これまでのマネジメントに問題があるケースも挙げられます。「頑張っている」「スキル・知識がある」「真面目に仕事に取り組んでいる」「●●さんがいないと回らない」という評価をすることで、その担当者が引き継ぎや情報共有よりも業務をこなすことに重きを置くことになります。

もちろん、高度なスキルや知識を習得し、仕事に真面目に向き合う姿勢は褒められるべきですが、結果として仕事を抱え込むことにもなってしまうのです。

属人化を脱却する方法

それでは属人化を脱却するためにはどうすればよいのでしょうか?その方法について見ていきましょう。

業務を分散する

まずは業務を1人に集中させないことが大切です。そのためには一度業務を細分化してみましょう。たとえば、工場で商品を製造する場合、素材の加工や組立、検査、梱包など、さまざまな工程があります。このなかで「検査はほかの人にもできそう」「梱包なら新人にも任せられるかもしれない」というように、ほかのメンバーに任せられる業務を見つけて分業制にしていくことで、属人化の脱却につながります。

マニュアルを作成する

業務をマニュアル化することも属人化を脱却するうえでは大切です。たとえば、大手ハンバーガーチェーンが流動性が高いアルバイトを中心に店舗を運営しても業務が円滑に回り、世界中に店舗を展開できているのは、マニュアル化を徹底しているためです。

前述のとおり言語化できない部分もあるかもしれません。また、担当者あるいは職場全体がマニュアル作成に慣れていないため、マニュアルを作成できていない側面もあるかもしれません。必要に応じて人事や教育担当者がアシストしながら、まずはできる範囲でマニュアル化を進めることが大切です。

ノウハウを共有する

属人化の要因として特定の担当者しかノウハウを持っていないことが挙げられます。もちろん習得に時間がかかるもの、経験や感覚に頼るものもあるかもしれません。そのなかでも若手に共有していくことが非常に大切です。特に習得までに時間がかかるものほど、早めに引き継いでいく必要があります。ノウハウ自体を引き継げない場合は、習得の方法を共有したり、若手に実務を経験させる機会を設けたりすることが大切です。

チームマネジメントを行う

上記のことを行うためには個人プレイから脱却し、チームでマネジメントをすることが前提となります。業務を分業制にしてチームでひとつの仕事を行う、ノウハウあるいは習得の仕方をチームで共有するといった体制を構築する必要があります。また、個々人に対しても、技能やスキルを評価するのに加え、引き継ぎに関してもマネジメントをするよう意識することが要となります。

まとめ

属人化は、組織運営や企業経営に深刻な問題を及ぼすリスクを孕んでいます。特に担当者が退職してしまったら経営を揺るがす自体にも発展しかねません。経営層や管理者が個々人の状況を把握し、チーム全体をマネジメントすることが大切です。

属人化は、従業員の不満の火種にもなり得ます。担当者にとっては仕事が集中するため、過重労働になりやすく、労働環境や待遇に不満を抱きやすくなります。また、担当者以外の従業員は情報が共有されていないことや、特定の業務を担当させてもらえないことに不満を覚えるかもしれません。こうして優秀な従業員がメンタルに不調をきたしたり、離職につながったりするケースもあります。

業務を平準化して属人化を脱却すれば、経営上のリスクを軽減でき、従業員の早期離職なども防ぐことができます。

現場の状況と社員の考えを把握するツールとして「Goodモチベーション」を活用してみてはいかがでしょうか?「モチベーション診断」と「キャリア面談」で従業員の本音や不満、悩みを見える化し、組織体制の再構築やチームマネジメントの方向性を策定することができます。

属人化を脱却すれば、組織がより強いものとなります。ぜひ、今の体制や現場の状況を見直してみましょう。


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