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今話題の「パーパス経営」とは?メリットや導入のポイントについて解説

経営・業務改善

今、「パーパス経営」という言葉が話題になっています。大企業や有名企業を中心に取り入れている会社が増えていますが、「名前は聞いたことがあるけれど、具体的にどのようなものなのかわからない」という方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、パーパス経営の意味やメリット、事例、導入する際のポイントについてご紹介します。今後の組織づくりの参考にしていただければ幸いです。

そもそもパーパス経営とは?パーパス経営のメリット

そもそもパーパス経営とは何なのでしょうか?どのようなメリットがあるのでしょうか?まずはパーパス経営について基礎からご説明します。

パーパス経営の意味

パーパス(Purpose)は「目的」「意図」「意思」という意味の英単語です。「存在意義」や「志」という意味合いもあります。そこから転じてビジネスシーンでは「経営戦略」や「ブランディング」の意味合いで使われることも多いです。

「パーパス経営」とは「なぜ自分たちの会社は存在するのか?」「どうやって社会に貢献していくのか?」という自社の理念や存在意義を社内外に対して明確にする経営のことを指します。

ちなみに、似たような言葉としてミッション(使命)、ビジョン(未来像や構想)、バリュー(価値観、行動指針)というものもあります。これらは必ずしも社会とのつながりがあるとは限りません。「5年後に売上倍増」「顧客第一主義」というように、自社や従業員、株主、顧客などのステークホルダーが対象となっているケースがほとんどです。パーパスは「社会に対して自社で何ができるか?」が重要となってきます。

パーパス経営のメリット

パーパス経営を取り入れることで、自社の社会における立ち位置や役割が明確になります。「会社の利益を上げるため」「自分の給料を稼ぐため」だけで働いているとなかなかモチベーションは維持できません。

そこでパーパス経営を取り入れれば、「社会に貢献する」という目的が加わり、自ずと従業員一人ひとりの存在意義が明確になります。その結果、個々人の仕事に対するモチベーション(やりがい)が向上し、組織全体のパフォーマンスアップ、離職率の低下、メンタルヘルスの不調などを軽減できる効果が得られます。

また、パーパスを実現するためにやるべきことが明確化されるので、従業員の足並みが揃い、組織に一体感が生まれやすくなることもメリットです。方向性が明確になっているが故に斬新なアイディアが生まれやすくなったり、受け入れやすくなったりする土壌も形成されます。社内にパーパスが浸透することで、商品・サービスの高品質化につながり、業績がアップする可能性も大いにあるでしょう。

また、パーパスを明確に社外へ打ち出すことで、顧客(見込み客を含む)や投資家から共感が得られることにもつながり、共感してくれる株主からの出資や、新たな顧客の増加につながります。

パーパス経営の事例

今、国内外問わず有名企業や大企業がパーパス経営を導入しています。ここからは、パーパス経営の事例を見ていきましょう。

ソニー

ソニーといえば日本を代表する電機メーカーです。2019年に吉田憲一郎氏が会長兼社長CEOに就任し、ミッションとビジョン、バリューを見直そうと取り組んでいました。しかし、その過程でパーパスという考え方を知ったそうです。世界中に11万人の社員を抱えるソニーグループはあらためて「自社が何のために存在するか?」を明確にすることで社員一人ひとりが自分の存在意義を明確にでき、皆が同じベクトルに向かっていけるということで、パーパスをつくることを決意したそうです。

ソニーが掲げているパーパスは「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす」。「P&V事務局」という専任の部門を創設し、ポスターの配布やレター配信、ビデオの制作、マネジメント層への呼びかけなど、さまざまな取り組みを行い、約2年で社内に浸透したそうです。

コロナ禍のなか、ソニーは自粛によるストレスを抱える消費者を喜ばせる商品開発に力を入れ、プレイステーション5の発売や『鬼滅の刃無限列車編』の公開など、精力的に次々と新しい商品・サービスを市場に投入し、2020年度に過去最高益を記録しました。

味の素

国内の代表的な食品企業である味の素は「食と健康の課題解決企業を目指して」というパーパスを掲げ、食の改善や健康寿命を延ばすことが自社の役割であると定義づけています。

このパーパスをもとに、栄養価値を高めた製品の割合、アミノ酸の生理機能や栄養機能を活用した製品の利用機会などをKPIとして設定。社内でパーパスを浸透させるためにパーパス説明会の開催や、貢献度が高い社員に対する表彰などの取り組みを続けています。

パタゴニア

パタゴニアは、アメリカのアウトドア用品メーカーです。同社は「パタゴニアは、我が故郷地球を救うためにビジネスを行う」というパーパスを掲げています。製品の材料は地球にやさしいものしか使わず、売上の1%を地球環境保全のために寄付するという取り組みを行っています。

特に登山やキャンプなどのアウトドアを楽しむ人は自然の大切さを知っているため、パタゴニアのパーパスと親和性が高く、顧客のなかには「パタゴニア信者」と呼ばれるくらい、パーパスに傾倒している人も少なくないそうです。また、パーパスに共感した優秀な人材が社員として合流しているため、人材採用・育成にも良い影響をもたらしているようです。

パーパス経営を導入するためのポイント

最後にこれからパーパス経営を導入される方、あるいは検討されている方のために、パーパス経営を取り入れる際のポイントについてみていきましょう。

自社のパーパスを明確にする

まずはあらためて自社の存在意義や理念について考えてみましょう。現在でも経営方針やミッション、ビジョン、バリューにもとづいて取り組まれているかと思います。それを、もっと範囲を拡げて考えます。

「自社は社会に対してどのような価値を提供できるのか?」「社会において何を生み出すのか?」「自社は社会においてどのような立ち位置にあるか?」など、あらためて見直してみましょう。

前述のとおり、電機メーカーであるソニーは「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす」、食品メーカーである味の素は「食と健康の課題解決企業を目指して」というパーパスを掲げています。このように、自社の商品・サービスによって社会全体に何が提供できるのかを考えてみると、パーパスを明確にしやすくなるでしょう。

「パーパスステートメント」を作成する

ステートメントとは「具体的な言葉・声明」のことです。前項で明確にしたパーパスを「我々の責任は●●(商品やサービス)を通じて社会に●●(価値)をもたらす」というように言語化してみましょう。

パーパスステートメントを実行する

パーパスステートメントを作成したら、それを社内に共有することになります。もちろん会議や通達などで浸透させることも大切ですが、まずは経営者自らがパーパスの信奉者となることが大切です。

トップが率先してパーパスステートメントを実行するための仕組みづくりや人材の確保、資金調達などの行動を示すことで、従業員の意識も変わってきます。徐々に社内のベクトルが揃い、組織が活性化し、先にご紹介したパーパスのメリットが実感できるようになってくるでしょう。

まとめ

SDGsが採択され、経済においても「サスティナビリティ」が重視されるようになってきました。働き方の変革、あるいはミレニアル世代を中心とした「社会貢献」を重視する価値観の高まりなど、さまざまな社会情勢の変化によって、企業の存在価値が問われる時代になってきました。これから企業はパーパス経営に移行せざるを得ない状況となり、明確なパーパスステートメントがない企業は淘汰されかねません。

一方でパーパス経営を取り入れることで、商品やサービスの高品質化につながる、社内の一体感が醸成され、組織が活性化します。また、早期離職やメンタルヘルスの不調の予防といった、さまざまなメリットを享受することが可能です。

今一度、「なぜ自社が存在するのか?」「社会に何を提供できるか?」を見直してみましょう。また、パーパス経営を取り入れる前と後を比較して効果測定を行うことも大切です。

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