失われつつある社風や企業文化!どう取り戻す?
今、人々の価値観や社会環境の変化によって社風や企業文化が失われつつある企業が増えてきています。実際に会社と社員の価値観が合わず、経営者や社員が悩んでいるケースも少なくありません。
この記事では、社風や企業文化の意味や必要性、浸透させるためのポイントについてご説明します。今一度自社の社風や企業文化について見直してみませんか。
社風・企業文化とは?
まずは社風・企業文化の意味についておさらいしてみましょう。
社風とは、その会社あるいは働く人々の考え方や気質、雰囲気などを指します。たとえば「アットホーム」「ビジネスライク」「風通しがいい」「規律を守る」「革新的」「保守的」などが挙げられます。
企業文化とは、会社全体の信念や行動規範、ルールのことを指します。「お客様第一主義」「成果主義」「実力主義」「自由」「地元志向」「グローバル思考」などが挙げられます。
人にたとえると、社風はその人が長年人生を過ごすなかで形成された性格や人柄、企業文化はその人が大切にしている価値観やポリシーといえます。
なぜ社風・企業文化が必要なのか?
社風や企業文化は、良くも悪くもその会社の経営方針に色濃く反映されます。たとえば、アットホームな社風やお客様第一主義という企業文化をもつ企業であれば、成果主義的な人事評価よりも人柄重視の評価をしたほうが合っています。こうした企業にいきなり成果主義的な人事評価制度を取り入れても、従業員から受け入れられない可能性が高いです。
社風・企業文化は、その会社の個性であり、それが商品やサービスにも反映されます。たとえば、アットホームな社風をもつホテルや飲食店であれば、社内だけでなく自ずとお客様へのサービスもアットホームなものになります。保守的なメーカーであれば、斬新さはあまりないけれど故障しにくく、ユーザーが安心して使える質実剛健な製品を安定して市場に供給し続けます。
社風・企業文化が明確になっていることで、それにマッチした人材も集まります。革新的な社風の会社であれば、やはり「世の中を変えたい」「おもしろいことをしたい」という人材が集まるでしょう。地元志向の企業文化であれば、「地元でずっと働きたい」「地元に貢献したい」という想いをもった人が集まります。また、社風や企業文化が明確になっている企業ほど、従業員のベクトルが同じ方向に向き、強い組織となっている傾向が高いです。
このように社風・企業文化は会社のあらゆる面に作用します。
社風・企業文化が失われつつある?
強い組織を形成するためには、社風や企業文化が浸透していることが大切です。しかし、近年は人々の価値観や生活様式の変化で、社風や企業文化が失われつつあります。
長らく日本企業はメンバーシップ型の雇用形態をとり、年功序列・終身雇用を前提とし、配置転換をしながら会社全体で人材を育ててきました。しかし近年では、ジョブ型雇用を採用する企業が増えてきています。職種を限定して専門性が高い人材を採用するという欧米型の雇用形態です。
メンバーシップ型雇用とジョブ型雇用についてはこちらの記事(「拡がる“ジョブ型雇用”中小企業はこれからどうすべき?」)で詳しくご説明しています。
今や転職も当たり前の時代になってきました。若者を中心に「会社に骨を埋める」という考え方が薄れ、個人主義的な価値観が強くなってきている傾向にあります。
また、コロナ禍によるリモートワークの普及も影響が大きいです。社風や企業文化は職場という“場所”に、従業員という“人”が集まることで形成されますが、その機会がなくなってしまいました。特にコロナ禍で就職した新入社員は、出社する機会が少ないため、どうしてもベテラン社員との価値観のズレが生じがちです。
従業員の価値観と社風・企業文化のズレが生じることで起こる問題
従業員の価値観と社風・企業文化とのズレが生じることで、さまざまな問題が起こる可能性があります。
まず挙げられるのがコミュニケーション不足です。たとえば、リスクをとることを厭わず新しいことにチャレンジしたいという革新的な思考をもっているAさんが、これまでのやり方を大切にして慎重に物事を進めていこうとする保守的な社風をもつ企業に入社したとします。Aさんの主張や提案は、その会社ではなかなか受け入れられないかもしれません。一方でAさんにとっても会社側の価値観は受け入れられるものではありません。こうして双方に溝ができることでコミュニケーション不足が起きてしまいます。
また、会社の保守的な仕事の進め方とAさんの仕事の進め方にもズレが生じてくるものです。会社は「若いうちは、いろいろと経験してじっくりと成長してほしい」という想いがあり、Aさんに雑務も含めて比較的難易度が低い仕事を与えても、Aさんのなかには「雑用ばかり押し付けられる」「自分のやりたかったことはこんなことではない」という気持ちが芽生えてしまいます。やがて、モチベーションが低下し、Aさん個人、そして会社全体の生産性にも悪影響を及ぼすことになりかねません。
さらにこの状況が続けばAさんの不満が大きくなり、メンタルの不調や早期離職にもつながりかねません。
革新的な思考、保守的な思考、どちらが良い・悪いというのはありません。Aさんが革新的な社風をもつ会社に就職していれば、力を発揮できていた可能性があります。会社が保守的な価値観をもった人を採用していれば、将来有望な人材に育っていたかもしれません。
このように従業員の価値観と社風・企業文化とのズレによって問題が起こるケースは、しばしばあります。
社風・企業文化を形成・浸透させるために
それでは社風・企業文化を形成し、社内に浸透させるためには何を行えばよいのでしょうか。ここからはそのポイントについてご説明します。
出社日を増やす
社風や企業文化の浸透は、接触した頻度に比例します。リモートワークを導入している会社の場合は、感染対策を万全にしたうえで出社日を増やすことも検討してみましょう。特にコロナ禍で新入社員が入社している場合、接触頻度が少ないためお互いの価値観のすり合わせや雰囲気がつかめていない傾向があります。
確かにリモートワークでもビデオ通話などである程度伝わりますが、やはりそれがすべてではありません。同じ空間で仕事をする、顔を突き合わせて話をするだけでも印象や捉え方は変わってくるものです。
経営者や管理職が若手社員に対してメッセージを発信し、社風や企業文化を理解してもらう
今一度「自社は何を目指しているのか」「うちはこういう会社だ」ということを見つめ直し、経営者や管理職が若手社員や新入社員に対してメッセージを積極的に発信しましょう。経営者がもっているビジョンや理想が企業文化となり、さらにそれが一般の従業員に浸透することで社風が醸成され、全員が同じベクトルを向くようになります。
ただし、一度だけではなかなか浸透しません。出社日や定例会議、ミーティングなどで繰り返し会社の考え方を発信しましょう。
コミュニケーションをとる(面談、ミーティング、飲み会など)
会社の価値観は経営者や管理職が発信する情報だけでなく、上司や先輩との日頃の会話からも伝わるものです。ただ出社日を増やすだけでなく、コミュニケーションをとる機会も積極的に設けましょう。定期的に面談やミーティングを行うことで、社風や企業文化が新入社員や若手社員に伝わりやすくなります。逆に新入社員や若手社員の本音を聞き出すことも可能です。
「同じ釜の飯を食う」「飲みニケーション」という言葉もあります。コロナ禍が落ち着いたらランチ会や飲み会などで交流する場を開くのもよいかもしれません。ざっくばらんに話ができ、お互いに気持ちを通じ合わせることができるでしょう。
まとめ
社風や企業文化を浸透させるためにもっとも大切なのはコミュニケーションです。新入社員や若手社員の価値観を知り、社風や企業文化との相違を確認し、すり合わせを行っていくという作業が必要となります。時には上司と従業員、あるいは従業員同士が「自社らしさ」についてディスカッションする機会を設けるのも効果的です。
前述のとおり、社風や企業文化と自分の価値観が合わないためにモチベーションが低下してメンタルの不調や早期離職につながってしまうというケースも少なくありません。定期的に面談を行い、従業員の本音を聞き出すことで、こうした問題の改善にもつながります。
Goodモチベーションなら「モチベーション診断」で従業員の不満や価値観の相違を見つけることができ、面談でコミュニケーションの強化や相互理解がはかれます。
一人当たり980円と気軽にスタートできるので、まずは特定のメンバーや部署で試すことも可能です。従業員のモチベーションを把握するツール、コミュニケーションを強化するツールとしても活用してみてはいかがでしょうか?
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