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企業における最大の成長期とは?「拡大化」フェーズを乗り越えるために必要なこと

経営・業務改善

べンチャー企業には大きく分けて「第1段階:創業」「第2段階:拡大化」「第3段階:公式化」「第4段階・最適化」という4つの成長段階があります。特に変化が大きく今後の経営を左右する時期として第2段階:拡大化が挙げられます。

今回は拡大化の段階を迎えた会社の特徴やよくある課題点と、それを乗り越えて経営を存続させるためのポイントについてご紹介します。

ベンチャー企業の成長には4段階ある

ベンチャー企業は規模によって大きく4つの成長段階に分けられます。それぞれ詳しく見ていきましょう。

第1段階:創業

創業とは法人設立から社員数10名ほどの段階です。創業者が自分で実務を行いながら社員をまとめていかなければならず、いや応なしにトップダウン型の経営になりがちです。

いうなれば創業は飛行機が離陸する段階。とにかくフルスロットルでスピードを出し、大空に飛び立ちます。ベンチャー企業の創業も立ち止まることなく、経営者も少数精鋭の社員も、がむしゃらに仕事をこなして市場という空に向かっていきます。

第2段階:拡大化

創業してしばらくたち、社員数が10~30名くらいに増えたら、今回の主題となっている拡大化の段階に入ります。組織体制や人材の育成状況にもよりますが、経営者はマネジメントを行いながらも、まだ実務から手を離すのはなかなか難しい状況です。

飛行機なら離陸した直後。揺れながらもぐんぐん上昇している段階です。社長には経営を安定させる舵取りが求められます。また、パイロットは上昇中に自動操縦に切り替え、飛行状況のモニタリングや安全運行・定時運行にかかわる業務に専念しますが、経営者も同様に実務やマネジメントを部下に任せ、経営に専念するための環境を整えなければなりません。

第3段階:公式化

社員数が30~50名ほどになると公式化という段階に入ります。この頃になると人材が育ち、徐々に社長は実務から離れて経営に専念できるようになります。むしろ、これだけ組織が大きくなると、トップダウン方式の経営は限界を迎えるでしょう。ルールを明確化して組織体制を整え、各部署にブレーンとなる管理職を配置する必要が出てきます。

飛行機でいえば雲の上の、かなり高高度まで上昇した段階です。安定はしてきましたが、まだまだ油断は大敵。さらに高いところを目指します。

第4段階・最適化

組織がだいぶ拡大して社員数が50~100名くらいになった段階です。このくらいの時期になると、社外からの信頼性も高まってコンスタントに仕事が入ってくるようになり、社内の組織や人材も育って安定した状態になります。事業が軌道に乗った一方で、保守的な姿勢や縦割り型組織の弊害なども徐々に見られるようになりますが、そうした状況下でいかに成長を続けていくかが重要です。

飛行機が巡航高度に達して水平飛行に移る段階です。安定はしているものの、ずっと飛躍し続けるために、最適化を行わなければなりません。

もっとも変化が大きくて重要なのは拡大化

ベンチャー企業には以上の通り4つの成長段階があります。なかでももっとも変化が大きくて重要なのは拡大化の時期です。ここからは拡大化の段階を迎えたベンチャー企業の特徴について見ていきましょう。

拡大化の段階にある企業の特徴

拡大化の時期は10~30人とある程度従業員数が増えて経営が軌道に乗り出し、組織としての地盤が整いつつある段階です。創業メンバー以外にも多様な価値観やスキル、経歴、バックボーンをもった人材が集まり、良くも悪くも急激な変化を遂げます。

一方でまだまだ安定するには至らず、とにかく仕事を取ってきて、それを皆でがむしゃらにこなす日々が続きます。

企業の一つのターニングポイントといえ、拡大化を乗り越えられるかどうかが今後の経営の肝となり、ここでつまずく経営者も非常に多いです。

拡大化の時期にトップダウン型経営の限界を迎える

創業期は人数が少ないためトップダウン型の経営でもそれほど大きな問題が生じないケースが多いです。むしろ、事業を立ち上げるためには経営者の強力なリーダーシップと行動力が必要となるため、トップダウンにならざるをえない側面すらあります。

しかし、多様な人材が増えることで徐々にトップダウン型の経営は限界を迎えます。従業員の状況を把握しづらくなり、経営者の考えが末端まで届きにくくなります。1人が面倒を見られる人数は30人程度が限度とされています。小中学校の1学級あたりの上限が35人と決められているのもそのためです。

拡大化の時期になると徐々に組織を構築して分業し、実務やマネジメントは各々の管理職に任せ、経営者は経営に専念する必要が出てきます。

拡大化段階で起こりうる課題

拡大化段階のベンチャー企業は以上のような変化があり、さまざまな問題が生じがちです。拡大化を迎えた企業でよくありがちな課題について見ていきましょう。

業務量が増え過重労働になりがち

拡大化の時期となると精力的な営業活動と知名度の向上も相まって仕事がどんどん入ってきます。とはいえまだ仕事をより好みできる立場ではなく、経営者も社員もとにかく目の前の仕事をこなすので手一杯。一方で社員数はまだ十分確保できていない状況であり、1人あたりの業務量が増え、過重労働になりがちです。残業や休日出勤が常態化している拡大化段階のベンチャー企業も少なくありません。

特定の従業員にしわ寄せがいくこともある

従業員数が増えると、どうしてもスキルにバラツキが出てきます。新人をフォローしたり育成したりする余裕もなく、いや応なしに特定の従業員に仕事が集中する傾向があります。特に創業当初から在籍しているスタッフは、既存の業務を抱えつつ新しい仕事にも取り組まなければならないため、業務量が増えがちになります。

経営者がプレイングマネージャになる

拡大化段階の企業は人材も成長段階にあるため、まだまだ経営者が自ら営業をしたり現場で作業をしたりするなど、実務をこなさなければならない状況です。経営者がプレイングマネージャになることで、マネジメントがおろそかになるだけでなく、経営者自身も過重労働に陥り、正常な経営判断ができなくなるリスクがあります。

仲たがいが起きる

10人、20人、30人と従業員が増えるにつれ、価値観も多様化します。さまざまなスキルやアイデアをもった人材が集まって組織が活性化する一方で、仲たがいも起きやすくなります。創業メンバーは同じような志をもち、創業時の苦労を知っている者同士でまとまりやすい傾向がありますが、拡大化段階で入社する人材はベクトルが合いづらいです。また、事業が軌道に乗るにつれ、経営者や創業メンバーの考え方も変わってきます。

経営者と従業員、創業メンバーと拡大化入社組、あるいは経営者と創業メンバーというように、仲たがいが起こることもよくあります。価値観の相違や会社に対する不満によって離職する人も出てくるかもしれません。

まとめ

ベンチャー企業の拡大化段階ではさまざまな課題が発生し、それを乗り越えられるかが鍵となります。飛行機も離陸した後は風で大きく揺れたり雲のなかに突入して視界が悪くなったりといった状況下でも、どんどん高度を上げていきます。それと同じように、拡大化段階ならではの困難を乗り越えることで、はじめてその後の「公式化」「最適化」という段階に移ることができます。

特に拡大化段階ではマネジメントが十分でないことによって会社に対する不満や人間関係のトラブルが生じやすくなります。ハードワークも相まって職場に不信感を覚え、離職が相次いでしまうといったこともあり得ます。人材が育たず仕事も途切れてしまい、成長が止まってしまったり廃業してしまったりするベンチャー企業も少なくありません。

拡大化段階になったらトップダウン型の経営は限界です。経営者は経営判断や資金調達に専念し、マネジメントは管理職に、実務は従業員に任せる必要があります。

ブレーンとなる管理職や従業員との信頼関係を構築するためにはコミュニケーションをしっかりとはかることが大切です。本音や不満を聞き出すことで、組織の改善やメンタル不調、離職などを防ぐことができます。そのツールとしてGoodモチベーション(https://good-motivation.com/)を活用した面談が効果的です。経営者と管理職、あるいは管理職と従業員がコミュニケーションを強化することで、より強い組織が構築できます。

拡大化は迎えたけどなかなか組織が大きくならない、従業員とどうコミュニケーションをとっていいのかわからない、人材が成長していない、離職が相次いで困っている……そんなお悩みがありましたら、まずは管理職や従業員としっかりとコミュニケーションをとってみましょう。


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